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一般社団法人 日本人材派遣協会
会長
川崎 健一郎
新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年4月に国内で初めてとなる緊急事態宣言が発出されてから現在まで、2年以上にわたって、我々はコロナ禍と呼ばれる期間を過ごしてきました。昨年2021年は、地域によっては年間の7割以上が緊急事態宣言下もしくはまん延防止等重点措置期間という、未曽有の事態となりました。

この2年間は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止しながら、社会経済活動をできる限り停滞させることなく継続することが、我が国全体におけるもっとも大きな課題のひとつでした。我々人材派遣業界でも、派遣社員の安定的な雇用を実現しながら、新たな雇用機会の創出に貢献するべく、様々な取り組みを行ってまいりました。現在、ワクチンの接種が進んだことなどから、感染状況は徐々に落ち着きを見せ始めています。引き続き状況を注視していく必要はありますが、経済活動においても、状態の維持ではなく、成長に向けて再び注力できる環境が整いつつあります。

我が国において特に大きな課題の一つが、人口減少と少子高齢化の加速です。政府の推計では、2050年までに人口が2,000万人減少し、全人口における65歳以上の高齢者の割合が4割に迫ると見込まれています。労働力人口が大幅に減少するなかで、持続的な成長を遂げるために不可欠なのが、生産性の飛躍的な向上です。そのためのカギとなるのが、教育研修やキャリア形成支援により人々の潜在的な能力を引き出すことであると考えています。働く人々が自身の将来に対する展望を持ち、必要な能力開発を促進し、幸せを感じながらいきいきと働く環境を創り上げることが欠かせません。当協会としましては、先を見通すことが困難なVUCA*の時代と呼ばれる現代においても、安定的な雇用の実現と合わせ、ひとりひとりがより幸せを感じ活躍できる社会の実現に貢献して参りたいと思っております。

岸田総理大臣は、今年5月にロンドンで行った演説でリスキリングに力を入れることを明言し、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)でも、人への投資を重点投資分野のひとつとして掲げました。人材のプロフェッショナルである我々は、働く人々が将来への展望を描くことを支援するキャリアコンサルティングや、ITなどの成長産業への労働移行を促すリスキリングをはじめとしたキャリア形成支援、そして多様な働き方と就業機会の提供といった取り組みを通じて、多くの人々がいきいきと幸せを感じながら働ける環境の構築に大きな役割を果たすことができる存在です。一般社団法人日本人材派遣協会は、あらゆるステークホルダーの皆様と協力・連携しながら、より良い未来を実現するため、一丸となって取り組んでまいります。

2022年06月

 

 

* VUCA・・・Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字で「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」のことを表す。