警備業務

警備業務とは、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における、または運搬中の現金等に係る盗難等や、雑踏での負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(警備業法第二条第一項各号に掲げる業務)です(以下の業務の1つないし幾つかを複合的に業務の一部としている場合 ※ に禁止業務となります)。

  • 以下のような場合でも、繰り返し行われると「警備業務」とみなされる可能性がありますので注意が必要
    例1:販売業務で派遣されている労働者が、混雑時にレジ前の客に整列をお願いする。
    例2:受付業務で派遣されている労働者が、受付周辺を徘徊する人に声をかける。 等

禁止業務に該当する事例

事例 [1]会場や店舗の入口で手荷物検査をする。
事例 [2]盗難等の事故発生を防止・警戒するために、不審者や迷惑者に注意を促したり、質問をしたりする。
事例 [3]盗難等の事故発生を防止・警戒するために、建造物内や会場内を巡回・巡視する。
事例 [4]催し物等によって混雑する場所での雑踏や駐車場等の整理や、人や車両の誘導をする。
事例 [5]業務として犯罪者を追跡したり、捕まえたりする。
事例 [6]運搬中の貴重品・金品等に帯同して監視をする。
事例 [7]防犯通報に対して待機をする。
事例 [8]建造物内で、警備目的で無人の時間帯・状態に常駐する。(当直、夜間窓口等)
事例 [9]「警備室」「警備関係者受付窓口」等の施設に常駐する。

禁止の理由

請負形態により業務を処理することが警備業法上求められており、労働者派遣を認めた場合、その業務の適正実施に問題が生ずるためです。
●労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

(昭和六十年七月五日)(法律第八十八号)

第四条
何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない。
警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣(次節、第二十三条第二項及び第三項並びに第四十条の二第一項第一号において単に「労働者派遣」という。)により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
●労働者派遣事業関係業務取扱要領
第2
適用除外業務等
1
適用除外業務に係る制限
何人も、次のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行ってはならない(法第4条第1項)。

[3]警備業法(昭和47年法律第117号)第2条第1項各号に掲げる業務

以上の業務(以下「適用除外業務」という。)については、一般労働者派遣事業であると特定労働者派遣事業であるとを問わず、また、許可を受け、又は届出をして労働者派遣事業を行っているか否かを問わず、労働者派遣事業を行ってはならない。
また、労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該適用除外業務のいずれかに該当する業務に従事させてはならない(法第4条第3項)。
2
適用除外業務の範囲
(4)
警備業務
1の[3]の警備業務に相当する業務は、次に掲げる業務をいう。
(イ)
事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
「事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等」とは、警備業務を行う対象となる施設を例示的に列記しているものである。施設とは、建物その他の工作物等の物的設備のほか、事業活動の全体を指す総合的な概念であるが、ある施設が警備業務対象施設に該当するかどうかの判断は、その施設における事故の発生の警戒、防止の業務について、警備業法による規制を行う社会的必要性が一般的に認められるかどうかという観点に基づいて行われるものである。
「事故の発生を警戒し、防止する業務」とは、施設における異常の有無を確認し、不審者を発見したときに警察へ通報したり、倒れている負傷者を救出するなどの活動を行う業務をいう。「事故」とは、施設における事業活動の正常な運行を妨げ、又は施設の正常な状態を損なうような出来事をいう。「警戒し、防止する」とは、事故の発生につながるあらゆる情報を把握する目的を持って巡回、監視等の活動を行い、事故の発生につながる情報を把握した場合には、事故の発生を防止するために必要な措置を行い、又は事故が発生した場合には被害の拡大を防止するために必要な措置を行う一連の活動を意味するが、この一部分を行う業務であっても、「警戒し、防止する業務」に該当する。
(ロ)
人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
祭礼、催し物等によって混雑する場所での雑踏整理、道路工事等現場周辺での人や車両の誘導等を行う業務をいう。
(ハ)
運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
現金、貴金属、美術品等の運搬に際し、その正常な運行を妨げるような事故の発生を警戒し、防止する業務をいう。「現金、貴金属、美術品等」とは、運搬中の事故が及ぼす社会的、経済的影響の大きい物品を例示的に列記しているものである。この業務としては、現金等の運搬に際し警備員を運搬車両に添乗させる等して事故の発生を警戒し、防止する業務のほか、現金等を運搬すると同時に事故の発生を警戒、防止するという形態の業務が含まれる。
(ニ)
人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務
人の身体に対する危害の発生をその身辺において警戒、防止するいわゆるボディーガード等の業務をいう。
また、派遣労働者が従事する業務の一部にイの(イ)から(ニ)までの業務のうちいずれかの業務が含まれているときは、全体として違法な労働者派遣となるものである。
なお、警備業務に係る労働者派遣事業が行われることのないよう労働者派遣事業を行う事業主に対する指導監督の強化を図るとともに、警備業務について労働者派遣事業を行っているおそれがあることを認知した場合には、都道府県公安委員会に対し速やかに通報するなどの必要な措置を講ずること。
(6)
違反の場合の効果
適用除外業務について労働者派遣事業を行った者は、法第59条第1号に該当し1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合がある。
また、許可の取消し(法第14条第1項)、事業停止命令(法第14条第2項、法第21条第2項)、改善命令(法第49条第1項)の対象となり、イの司法処分を受けた場合は、許可の取消し、事業廃止命令(法第21条第1項)の対象となる(第13の2参照)。
また、その指揮命令の下に派遣労働者を適用除外業務に従事させた者は、勧告(法第49条の2第1項)、公表(法第49条の2第2項)の対象となり(第13の3参照)、また、派遣労働者を適用除外業務に従事させる者へ労働者派遣を行った派遣元事業主は、労働者派遣の停止命令(法第49条第2項)の対象となる(第13の2の(5)参照)。